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産後の免疫力を上げるにはどうすればいい?免疫力ケア方法をご紹介


産後は身体的なダメージによる体力低下だけでなく、赤ちゃんのお世話による忙しさや、睡眠不足などによって免疫力の低下が起こります。ただでさえ心身ともに大変な産後でも、できるだけ健やかに生活ができるよう、この記事では産後の免疫力を上げるためのケア方法についてご紹介していきます。

産後は免疫力が低下し風邪などをひきやすくなる

産後は一般的に免疫力が低下し、風邪などの感染症に対する抵抗力が一時的に弱まるといわれています。妊娠中のホルモンの急激な変化、出産に伴う身体のストレス、育児に伴う疲労など、原因に触れながらご紹介していきます。

出産による体力低下、育児の疲れやストレスなどが原因で抵抗力が落ちる

出産で体力を大幅に消耗している中で、産後すぐの赤ちゃんのお世話では、十分な睡眠や休息をとることがなかなか難しいため、結果的に免疫力の低下につながります

また、産後はホルモンバランスが一気に崩れるため、普段では感じない場面で不安を感じたり、怒りやすくなったりすることも。このようなストレスも免疫力の低下の原因となります。

このように、産後は抵抗力を下げてしまう要因がたくさんあることがわかります。産後ママの免疫力を上げるには、これらの要因をできるだけ緩和させるための方法を考える必要があります。

甲状腺ホルモン機能の低下により免疫力が落ちている場合もある

甲状腺ホルモンは体の新陳代謝を促す重要なホルモンで、甲状腺ホルモンを正常に保つことは安全な妊娠出産において必要不可欠です。ただし妊娠中は、妊娠した女性だけが作る特殊なホルモン(hCG)の大量分泌によって、甲状腺ホルモンの分泌も促されてしまうため、特に妊娠初期は、血中の甲状腺ホルモンが増加する傾向にあります。

産後、甲状腺ホルモンは妊娠前の状態にきちんと戻るはずですが、何かしらの理由で甲状腺ホルモンの機能が低下してしまうと、さまざまな体調の変化や不良を引き起こす可能性があります

産後ママの免疫力アップのためのケア方法

産後のママの免疫力向上には、産後すぐの適切なケアが欠かせません。産後の体力回復のためにできること、気をつけるべきことをご紹介していきます。

産後2週間ほどは安静に過ごし、体力回復を優先させる

一般的に産後1ヶ月程度は産褥期(さんじょくき)と呼ばれ、産後の体が元に戻るまでの重要な期間です。産褥期の体力回復をできるだけ早めるには、産後2週間はできるだけ安静に過ごし、身体を温める事を優先させましょう。足湯や岩盤浴、温かい飲み物などで低体温にならないようにしましょう

家庭の事情によってはすぐに家事をこなさなくてはならない状況下のママもいるかもしれませんが、ここで無理をしてしまうと思うように体が回復しません。

産後すぐの間は家族に頼ったり、家事代行のサービスを利用したり、デリバリーサービスを利用するなどとにかく自分の体を回復させることに集中しましょう。赤ちゃんのお世話も周囲と協力しながら、自分の対応は最低限にとどめられるようにすることも大切です。

短時間の昼寝などで休息を

産後すぐの赤ちゃんは2〜3時間おきに授乳があったり、まだまだ生活リズムが整っていないことから、自分自身も不規則な生活になりがちです。そんな中でも、少しでも時間ができた場合には、とにかく休息をとりましょう

たとえば、授乳後赤ちゃんが眠った際には自分も一緒に横になるなど、休むことを優先させます。自分の時間ができるとどうしても何かしてしまいたくなりますが、産後の免疫力アップのためには隙間時間にできるだけ休息をとる習慣を身につけることが大切です。

できるだけバランスの良い食事でしっかり栄養を摂取

産後、免疫力をあげるためには、栄養バランスの整った食事が欠かせません。中でも産後に摂取をおすすめしたい栄養素をまとめました。

栄養素 はたらき 食材
タンパク質 筋肉と熱ををつくる 肉・魚類、大豆製品、たまご
鉄分 産後の悪露、授乳などによる貧血症状の改善 ・ヘム鉄(吸収率が高い):鶏レバー、かつお、アサリ水煮 ・非ヘム鉄(吸収率が低い):ひじき、小松菜、豆乳
ビタミンB12 赤血球をつくる、貧血対策 魚介類、レバー、ほたて、チーズ
カルシウム 歯・骨の強化、授乳によるカルシウム不足対策 牛乳、プロセスチーズ、魚類、干しエビ、水菜、切り干し大根、木綿豆腐

産後、忙しい生活の中で栄養を気にしながら食事管理をすることは難しいケースもあるかもしれません。まずは無理をしないことを念頭に、主食に上記の栄養素のものを少し足してみたり、丼ものの一品に複数の食材を詰め込んだり、片手で食べられるようなメニューにしてみたりするなど、とにかく無理をせず続けられるように意識してみましょう。

すべて自分だけでやろうとせず行政やケアサービスなども活用しよう

産後ママの環境はそれぞれ違うと思います。たとえば、産後里帰りせずに家族だけで赤ちゃんを育てるママや、すでに上の子もいてなかなか休息に意識を向けづらいママもいるかと思います。そういった場合は、外部に頼んでしまうことも選択肢の一つです。

たとえば、ベビーシッターや家事代行サービスを利用することで、育児と家事の負担を軽減できます。自治体によってはケアサービス利用に使用できるクーポンが出ているのでチェックしてみましょう。

また、整体などのマッサージやリラックスサービスを利用することで、心身ともにリフレッシュするのもおすすめです。まずは家族とも相談して、自分を労わるために利用できるサービスは活用していきましょう。

産後1年を過ぎても風邪をひきやすかったり、体調不良が続く場合は病院に相談を

産後1年ほど経つと、赤ちゃんも生活リズムが整ってきて、睡眠時間も産後直後よりは確保しやすくなっており、ママ自身の体調も徐々に整ってくる傾向にあります。

それでも産後1年を過ぎても依然として風邪を引きやすかったり、体調不良が続く人もいるかもしれません。長引く慢性的な体調不良は心身ともにストレスが溜まるため、まずは免疫力低下の原因解明のためにも産婦人科などで相談するのがよいでしょう。

産後は体力回復を最優先し、免疫力アップを目指そう

産後の免疫力向上のためには、まず体力回復を最優先に考えることが重要です。妊娠と出産は想像以上に身体に大きな負担がかかるため、十分な休息と適切なケアが必要です。赤ちゃんのお世話の合間にきちんと睡眠をとりながら、無理のない程度で栄養バランスのとれた食事をとりましょう。

また、ストレスは免疫力低下の要因となるため、自分の精神状況もきちんとチェックしながら、家族や行政・民間サービスを上手に利用し、自分のケアに専念する時間を設けましょう。そうすることで、産後の体力回復を早め、免疫力アップにも期待ができます。

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この記事の監修者

浅井 貴子

・助産師

・新生児訪問指導歴は25年以上

・各情報サイトやランキングサイトなどでも執筆多数