妊娠・出産祝いとしてのツバメの巣

白い宝石と呼ばれるツバメの巣。その歴史は長く、世界三代美女の一人である楊貴妃をはじめ当時の貴族に食されてきたとも言われています。中国ではツバメの巣の持つ高い効果効能から、約2000年経った今もなお、妊婦さんや産後の方への贈り物として選ばれ続けているのです。

日本ではまだまだ浸透していないツバメの巣ですが、美容のみならず免疫力の強化や栄養補給といった産前・産後のお母さんにぜひ取り入れてほしい素晴らしい効果があるのです。産後のケアが盛んな中国で、産前・産後の贈り物としてツバメの巣が長く選ばれ続けるその理由をご紹介いたします。

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1. なぜアナツバメの巣?

私たちの美容と健康にとても重要な役割を果たしているのが「糖鎖」です。糖鎖は、体すべての細胞(約60兆個)の一つひとつに産毛のようについており、細胞どうしのコミュニケーション係を担っています。そのため、糖鎖が減ると、傷が再生しにくくなったり、免疫力が低下したりするのです。糖鎖に正常に働いてもらうには、8種類の「糖鎖栄養素」を補う必要があります。
その糖鎖の健康を保つために必要な栄養素8種類のうち、アナツバメの巣はなんと6種類もの栄養を含んでいるのです。

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キーポイントは“シアル酸”

糖鎖の栄養素の一つであるシアル酸ですが、「美と健康の司令塔」とも呼ばれています。そしてアナツバメの巣のシアル酸含有量はローヤルゼリーの約200倍と言われています。シアル酸は妊娠中あるいは授乳により薬が飲めないお母さんにとって、天然の食材で大切な赤ちゃんを守ることができると期待されているのです。

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そんなシアル酸には実際にどんな効果があるのでしょうか。いくつかある効果のうち特にアナツバメの巣を前産後のケアとしておすすめしたい理由である3つの効果をご紹介いたします。

2. 産前・産後のお母さんと赤ちゃんへ与える3つの効果

お母さんの免疫力を高める

産前・産後のお母さんにとって免疫力を高めることは何よりも重要です。ツバメの巣の中に豊富に含まれるシアル酸は、免疫機能を高めたり、ウイルスの感染を防ぐ役割を担っています。シアル酸が免疫系に関与し、粘膜の粘度調節(細胞感染防止)に働くことで、出産時の疲れや、産後の寝不足など産前・産後特有の免疫力の低下に対してより良い効果を発揮してくれるのです。産後の母体は「全治2ヵ月の怪我」と例えられるほどダメージを負っています。出産のダメージに加えて、慣れない育児や寝不足による疲労によって免疫力は下がりやすい状態。シアル酸は、そんなお母さんたちの免疫力の高めてくれます。

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産後のお母さんのダメージの回復と綺麗をサポートする

甚大な体力を使う産後には、お母さんのダメージの回復も大切です。ツバメの巣には多種類のアミノ酸が含まれており、その一つにEGF(上皮細胞増殖因子)というものがあります。年齢の変化に伴い、傷の治りが遅くなってきたと感じることはありませんか?これは、体内のEGFが急激に減少していくからなのです。EGFが多く含まれている天然物の中で近年の研究により明らかになったものがアナツバメの巣です。アナツバメの巣を通して摂取されたEGFは、表面の細胞に働きかけ、新しい細胞の成長をサポートしてくれます。この働きは、産後の産道や傷口などのダメージの回復に力を発揮してくれるのです。

また、ツバメの巣が持つ効果効能として美容や育毛、肌の修復の分野でも研究が進められています。生活が不規則なりがちな産後のお母さんにとって、お肌のトラブルや抜け毛の増加は深刻な問題です。そこで、EGFの持つ皮膚細胞の再生を促進する成分や、発毛サイクルに合わせてオンとオフを繰り返すスイッチのような役割が、肌トラブルや抜け毛の増加で悩むお母さんたちにも効果を発揮してくれます。また、育毛作用においては、十分な量のEGFを取り入れると、それ以上の量を取り入れないように調節してくれる機能を持っており、摂りすぎるということもありません。

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赤ちゃんの発育、成長を助ける

シアル酸は母乳中にも含まれています。特に分娩から3日~5日の初乳中での含有量が多いことも報告されています。乳児に対するシアル酸の生理効果としては、①脳や神経系の発達促進、②消化管内での病原体付着の阻止、③病原体毒素の中和、④良好な腸内フローラの維持、⑤免疫系発達の促進などが挙げられ、多くの作用が新生児の未熟なシアル酸合成能を補うように働くと考えられています。特に、研究の結果によると、新生児期のシアリルオリゴ糖(シアル酸を持つオリゴ糖)の摂取は、学習脳の発達にとって重要な成分であると考えられています。以上のことからもわかるように、シアル酸は産前・産後のお母さんだけでなく、赤ちゃんの発育や成長においても欠かせない重要な役割を担っているのです。

今回は特に産前・産後のお母さんのための3つの効果効能ご紹介しました。ツバメの巣は薬を摂取しづらい妊娠期、授乳期も摂取できる母子の「お守り」と言えます。しかし、ツバメの巣の効果はこれだけではありません。アナツバメの巣は、2000年以上もの歴史がありながら、まだ誰も知らない可能性を秘めています。
そんなツバメの巣ですが、素晴らしい効果がある一方で産前・産後のお母さんがツバメの巣を選ぶとき、またお母さんへツバメの巣を贈るときに気をつけてほしいポイントがあります。

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3. ツバメの巣を選ぶときに気をつけてほしい2つのポイント

本物のツバメの巣を選ぶ

ツバメの巣は、ごく限られた場所にしかないことから希少性が高く、美容や健康の面でも非常に価値が高いものです。無味無臭で模倣しやすいことから、ニセモノや養殖モノが市場に出回っています。ニセモノには化学物質など人体にとって有害な成分が含まれている可能性もあるので、非常に危険です。また、高級食材として知られるツバメの巣を高いお金を出して購入しても効果が全く得られないことがあっては本末転倒です。より安心安全に、より高い効果を得るためにも必ず本物のツバメの巣を選びましょう。

なるべく天然に近いものを選ぶ

産前・産後の体は非常にデリケートです。また、へその緒や母乳を通して赤ちゃんに栄養を届けることを考えると、防腐剤や着色料、漂白剤などの添加物はなるべく避けたいもの。また、近年の研究では、養殖モノも、天然のものより、栄養成分が少ないことがわかってきました。養殖は、バードハウスにアナツバメをおびき寄せて巣を作らせるため、自然な状態とは水や餌、空気も変わることが理由と考えられています。アナツバメの生活を守るため、自然環境を守るためにも、天然に近いものを選びましょう。

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まとめ

産後ケアに特化した中国で、長く続く「産前・産後にツバメの巣を贈る文化」。その背景にはまさに、産前・産後のお母さんへ贈るにふさわしい効果効能をもつツバメの巣の力にあります。自分のことはつい後回しになってしまいがちな産後のお母さん、子供の健やかな成長を願うお母さんを「ツバメのゆりかご」はサポートしていきます。

参考文献
肌の若さを保つ・EGF(上皮細胞増殖因子)(今田 勝美/ヘルス・凪文庫)
糖鎖の末端についている活性分子・シアル酸(今田 勝美/ヘルス・凪文庫)
アンチエイジングに最も有効・糖鎖(久郷晴彦 /ヘルス・凪文庫)
糖鎖栄養素・燕窩(今田 勝美/ヘルス・凪文庫)
乳由来シアル酸含有成分の粉ミルクへの応用(山村,淳一 中埜,拓/日本酪農科学会)