産前産後ケアとは?サポート事業の種類や取り組みについて

産前産後ケアとは、産後の一定期間において、自宅の他にも、保健センター、除算所、病院などにおいて、助産師等の看護職スタッフにより、母親の身体的な回復だけではなく、心理的な安定、母子の愛着形成を促すことで、家族ですこやかに育児ができるよう支援を行うことを目的としています。

今回の記事では、産前産後ケアのサポートを行っている事業をご紹介しております。

産後ケアの内容

産後ケアは、施設を利用する際には、日帰り型と宿泊型の2つのタイプがあります。

自宅では、訪問型のサービスもあります。

主に以下の5つを対象としています。

  1. 母体の身体的ケア
  2. 母体の心理的ケア
  3. 授乳に関する指導
  4. 育児指導や相談
  5. 生活指導や相談

サービスを提供している担当者の中には、看護師、助産師の他にも臨床心理士、栄養士、保育士等が含まれていますので、自分が聞いてみたい担当者に質問することも可能です。

 

日本産後ケア協会が提案する「産後ケアシステム」

産後ケアシステムによる継続ケアの意義

「産後ケアシステム」は、 ケアの対象を「子どもの母親」としてではなく、「ひとりの女性」として受け止めることから 始まります。

産前から産後へと変わる女性のこころと体、そして環境の変化も女性には大きな負荷がかかります。

そんな人生の節目にある女性に寄り添い、各専門的な知識と経験で支え、包括的にサポートするのが産後ケアリストです。

 そして子育てが一段落した女性が、今度は産後ケアリストとしてサポートする立場になることもできます。 それが「産後ケアシステム」です。

日本産後ケア協会が考える産後ママへのサポート

赤ちゃんの寝つきが悪く、夜もゆっくり眠れない。 腰痛や肩こり、そしてなかなか元に戻らない体型が心配。

話し相手もいない引きこもり状態の毎日にもんもん。 このような産後の大変な時期、自分の体よりも赤ちゃんを優先してしまうのは仕方のないこと。

でもママ自身が心身ともに健康であることは、赤ちゃんや夫への愛情のひとつ。 家族みんなの幸せのためにも、

女性のこころと体のケア、そして子育て環境も含めた産後の女性への包括的なケアが必要です。

日本産後ケア協会が考える産後ケアに重要な3つの要素

産後ケアに対する理解や必要性を社会に求める活動

・産後ケア先進国からの情報提供
・女性の社会進出への支援
・ワークライフバランスの実現
・地域の人と人とのつながりを再びつくり出すような新たな育児支援体制への協力

産前産後サポート|広島市の例

赤ちゃんを産む前や出産した後の数か月は、お母さんの身体と心の状態が最も不安定になる時期です。

広島市では、安心して出産や子育てができるように、助産師などの専門家が心と身体のケアや育児サポートなどを行う『広島市妊娠・出産包括支援事業』を実施しています。

『広島市妊娠・出産包括支援事業』は、産前・産後の時期や支援の内容に合わせて、次の3つのメニューを設けています。

利用に当たっては、担当の保健師がお母さんの不安や悩みなどをお聞きし、これらの事業の利用やその他の方法を含めて、必要なサポートの内容を一緒に考えます。

妊娠・出産に関して不安や心配がある方、出産後にご家族などから家事や育児の支援を受けることが難しいという方は、まず、お住いの区役所保健センターにご連絡ください。

利用条件や利用料金については、メニューごとに異なります。

産前・産後サポート

出産予定日の前8週(56日)~出産後1年未満

助産師がご自宅を訪問して、妊娠や出産についての相談支援、赤ちゃんへの授乳や沐浴などの指導を行います。

産後ケア(宿泊・通所)

出産後16週(120日目)まで

産科医療機関や助産所に宿泊または通所して、助産師等が出産直後のお母さんの心と身体のケアや赤ちゃんのお世話についての相談・指導などを行います。

産後ヘルパー派遣

出産後1年未満

訪問介護事業所のヘルパーがご自宅を訪問して、家事や赤ちゃんのお世話などをお母さんと一緒に行います。

※ 産後ケアは利用期間を産後16週(120日目)までとしていますが、未熟児で出生したなどの理由でこの期間を過ぎて利用を御希望の方におかれましては、

ご利用いただける場合がありますので、お住いの区の保健センターにご相談ください。

 

各メニューの詳細例

産前・産後サポート (妊娠中から出産後までサポート)

 助産師がご自宅を訪問して、妊娠・出産・育児に関する相談、乳房管理などを行います。

(1)利用できる方
下記のすべてにあてはまる産前8週(56日)から産後1年未満※までのお母さんと赤ちゃん

各事業所の担当エリアに住所を有する
体調不良や育児不安等がある(多胎児を妊娠・出産された方を含む。)
身近に相談できる人がいない
※ 産後1年未満とは、赤ちゃんの1歳の誕生日の前日までとしています。

(2)ケアの内容
お母さんの健康状態のチェック、乳房管理、妊娠・出産に関する不安に対する相談、授乳や沐浴についての相談・指導、赤ちゃんのお世話の仕方など

(3)訪問時間等
1回につき、1時間程度

(4)利用回数
 ・ 単胎児を妊娠・出産された方 : 4回まで

 ・ 多胎児(双子や三つ子など)を妊娠・出産された方 : 8回まで

 

産後ケア(出産後にお母さん・赤ちゃんのケアを行う)

医療機関等での宿泊や通所(デイケア)により、出産直後の母体や赤ちゃんのケア等、育児に関する相談や支援を行います。

(1)利用できる方
下記のすべてにあてはまるお母さんと生後16週(120日目)までの赤ちゃん※

事業所の対象エリアに住所を有する
産後16週未満で体調不良や育児不安等がある (多胎児を出産された方を含む。)
ご家族などから、十分な産後の家事・育児などの支援を受けることができない
※ 期間を産後16週(120日目)までとしていますが、未熟児で出生したなどの理由でこの期間を過ぎて利用を御希望の方におかれましては、ご利用いただける場合がありますので、お住いの区の保健センターにご相談ください。

(2)ケアの内容
お母さんの健康状態のチェック、乳房管理、授乳や沐浴についての相談・指導、赤ちゃんのお世話の仕方など

(3)利用期間
宿泊型ケア、通所(デイケア)ごとに

 ・ 単胎児を出産された方 : それぞれ7日間まで

 ・ 多胎児を出産された方 : それぞれ14日間まで

(4)実施場所
産科医療機関や助産所を探してみましょう。

 

京都府では、心身の負担や育児不安を抱える妊産婦の方に対して、一人ひとりのニーズに応じたきめ細やかな支援を行い、負担感や不安を少しでも軽減するため、市町村と連携しながら、妊娠から出産・子育てまでの包括的なケア体制づくりに取り組んでいます。

産前・産後ケア専門員について

妊産婦が、ほんの少しの手助けにより地域で安心して生活ができるようになることを目指し、子育てひろばでの関わりや家庭訪問などにおいて、一人ひとりの状況に応じた「ケアプラン」を作成し、それに基づいて、子育て支援サービスにつなぐ人材のことです。

「産前・産後ケア専門員」で検索して、お住まいのエリアでの相談可能な施設を確認することもできます。

産前・産後訪問支援員について

産前・産後ケア専門員のケアプランに基づき、妊産婦を訪問し、相談支援や育児支援、家事支援、外出同行支援等を行う人材のことです。

妊産婦が抱える子育ての不安感や負担感を受け止め、産後ケア専門員へ報告し、支援方法等の見直しにつなげます。

「産前・産後訪問支援員」と検索することで、お住まいのエリアの該当施設や医療機関を探すことができます。

養成講座について

育児経験者・高齢者の方など地域で子育てに関わる人材が、

各種研修を通じて様々な子育て支援の場で活躍するために必要な知識や技術の習得を促進するための講座を開催しています。

1.対象者

育児経験者、ヘルパーやファミリー・サポートセンターで活動経験がある者、専門的知識を持つ助産師等

2.講座の内容

コミュニケーション・スキル、母乳育児支援、妊娠・出産・産褥期の心と体、子どもの発育・発達、家事支援等を学ぶ講座カリキュラムです。

養成講座の詳しい内容や、申込み方法については、下記ホームページをご確認ください。

「産前・産後訪問支援員」養成講座のページもありますので、興味のある方は確認してください。

3.参加費用は、無料です。